「身長が170ないと人権が無い」とか言って炎上した人がいますが、私はそれについて２つのことを思いました。あくまで個人の感想です。
第１に思ったこと
第１に思ったことは「Aの場合にB」という文章の変化系で「Aの場合にBではない」という結論が否定形になる文章は印象が良くないということです。つまり「身長が170ないと人権が無い」は同意文である対偶の「人権がある人は身長が170以上ある」よりも印象が良くないということです。これには2つの理由があると考えられます。
１つ目の理由は、ポジティブな言葉を否定するとネガティブになりやすいということです。例えばで、自分のプレイしているハースストーン*1で「レジェンドランクに行かないと上手ではない」という文章があるとします。結論の「上手」という言葉はポジティブな言葉です。これを否定するので「ポジティブの否定」になるわけですが、ポジティブの否定ってネガティブに聞こえてしまいます。一方で、「プラチナランク以上あれば下手ではない」という言葉があるとします。「下手」というのはネガティブな言葉です。これを否定すると「ネガティブの否定」になります。「上手ではない」＝「下手」というのは勘違いですし、「下手ではない」＝「上手」というのも同じですが、ダイヤモンドランクの人がいたとして、この二つの文章を読んだら、どちらかというと「上手」か「下手」のどちらだと思うでしょうか。もちろんアンケートは取ってませんが、「自分はとちらかというと下手」と思う人の方が多いと筆者は思っています。つまり、ポジティブな言葉を否定するとネガティブになりやすいということです。
２つ目の理由は否定された対象の人の印象が悪いということです。先ほどのポジティブの否定の例で言うと「上手な人は必ずレジェンドランクに行っている」というのが対偶になりますが、対象がレジェンドランクの人のことのみ言っているので、その他のランク帯ののことに言及していません。レジェ行ってない人は上手ではないと言っているのですが、あまり意識はされないでしょう。一方で「レジェンドランクに行かないと上手ではない」はレジェンドランクではない人に向けて否定的な発言をしています。否定された方がマジョリティーだと、これはかなり炎上しやすいと思います。
なので、まずは「人権があるのは170以上」とだけ言っていればまだマシだったように思います。本人は「170以上あれば人権が出てくる」とも言っているのでほぼ同じ意味で使っていると思いますが、そちらだけ言っていればまだ炎上しにくかったように思います。
第２に思ったこと
第２に思ったことは、「人権」の意味です。私の認識ではゲームにおけるいわゆる「人権」というスラングは、あるステージをクリアするのに必須のキャラだったり、対戦で勝負になる性能を持ったアイテムやキャラのことを「人権」があると言うと思っています。そうでないと、相手にされない、門前払いされます。ソロプレイではクリアができず、協力プレイでは「参加拒否」されますし、対戦プレイではボコボコにされます。ここは想像ですが、「人権」という言葉が無い時に、こういった状況に共通の要素、つまり「相手にされるかどうか、土俵に立てるかどうか」状態を表すのに何が一番フィットするかについて、一番しっくりきたのが「人権」なのではないでしょうか？つまり、「人権がある」という言葉のイメージが「相手にされる」ということなのです。「人権」は「基本的人権」等で使われるように、人間が生まれながらにして、人間であるだけで当然保有している権利のことだと思います。そういう尊い言葉なのですが、ここで、ゲームプレイヤーの中で、「人権とは他者に相手にされることだ」という認識があったということ、つまり「人間は生まれながらにして他所に相手にしてもらう権利がある」ということです。もしそれが否定されると人間としての否定になります。衣食住でも文化的な生活でもなく「他者に相手にされることが最も基本的な権利」だと、ゲームプレイヤーが共通認識として持っているというのが目から鱗に思ったことです。人によっては「人権をそのようなスラングとして使うなと」いう人もいるでしょうが、ちょっと的外れな批判で、「相手にされるかどうかを「人権」という言葉で表すな」が正しい批判のように思います。
結論
結論として、「相手にするのは身長170以上」と言っておけば良かったのにと思ったのでした。特に結論が「ポジティブの否定」になるような発言は個人的にも日常的に気を付けたいですね。ネットで記事にするにしても相当インパクトが弱まると思います。
なお、もちろん炎上した当の本人がこの言葉だけでなくて前後の文脈やそれ以外の言動も炎上しやすいものだったということはあるでしょうが、今回はあくまでこの文章だけ切り取って思ったことを書きました。
*1:ハースストーンのランクは最上位がレジェンドで、その次がダイヤモンド、プラチナ、ゴールドと続きます
