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【ネタバレ有】映画「シン・ウルトラマン」感想

今回は久しぶりにブログで映画の感想を書こうと思います。お題は「シン・ウルトラマン」です。なお、自分は昭和ウルトラマンは小さいころに再放送で観ていた(逆に平成ウルトラマンは知らない)ので、そこそこ話は知っています。

 

shin-ultraman.jp

 

 

シン・ゴジラ」級の恐怖とカタルシスを期待して見に行ってしまったら、肩透かしを食らった。

 

特徴

・オマージュだらけ

 最初のウルトラQと同じオープニングから始まり、最後のゾーフィとウルトラマンとの会話まで、昭和ウルトラマンのオマージュだらけとなっていて、その点で観ていて楽しくなる。自分でも分からない部分は多々あるだろうが、自分的には十分。一方で全くウルトラマンを知らず、シン・ゴジラと同じ感覚で見にったら「なんだこれ?」となるかもしれない。また、爆発音や効果音がいちいち昭和版と同じになっているのも特徴的。

 

・CGは独特

 正直CGのクオリティとしては高いとは思わない。表面は水に濡れた粘土のようなツルツルとして質感である。そのため、スーツアクターがやった昭和版にあったような土ホコリを被った汚れた表現が無く、終始キレイな感じとなっており、そこは違和感があった。一方で、ウルトラマンだけとらえると、「銀色の巨人」と呼ばれるだけの光沢があり、美しいウルトラマンが表現できていたと思う。

 造形としては、特にウルトラマンとメフィラスに思ったのだが、「エヴァンゲリオン」並の腕の長さと細身(特に脚)となっているのが特徴で、巨大生物の格闘という意味では重量感の無いものになっている。一方でザラブのような空中戦では軽快な動きを実現しており、ここは痛しかゆしだろう。

 

・俳優は合っている

 俳優の斎藤工山本耕史などは非常に役にはまっているし、シン・ゴジラ同様に脂ぎった官僚や政治家の皆さんもかなりの適役と思う。唯一、ゾーフィ役の山寺宏一だけは違和感があった。ゾーフィは登場シーンがホラーテイストであることから、冷徹な役回りが予想されると思うのだが、山寺宏一が演ずることである程度温情が感じられてしまい、そのギャップに違和感が際立った。

 

良くなかった所

・カトクタイのメンバーがあまり活躍しないし軽い

 現場で指揮権があるくせに班長は「待て」しか言わないし、他のメンバーも劇中で有効な対策を考え付かず、ただ状況を説明するのみ。特に生物学者の船縁は言動に全く切迫感が無い上に役立たずという非常に苛立たしい位置にある。ウルトラマンである神永は単独行動が多く、カトクタイとしての活躍は全くない。唯一物理学者の滝だけは、最後にゼットン攻略を考え付くくらいだ。新メンバーの浅見もそうだが、全く緊張感も切迫感も無い。テレビ版のカトクタイの方がまだ優秀だぞ。

 

・ご都合主義な展開

 まず、2戦目の「ガボラ」戦で神永が途中から全くいないのに指摘が無いし、最後に現場基地で合流した後の追求が無い。公安の情報協力者は明らかに神永がウルトラマンになる前からの仲なのだが、まるで神永がウルトラマンである前提のような協力の仕方である。加えて神永がザラブに捕らわれているとことを浅見には伝えるが、自分は助けに行こうとしない。なぜだ?

 また、物語のキモとなる「ベータシステム」の理屈が分かり辛い。どうも人間だけ巨大化できる仕組みらしく、それでメフィラスは人類は生物兵器化しようと考えたわけだが、それならなぜザラブやメフィラスは巨大化できるのか?そもそも地球人サイズが小型化しただけなのか?

 もちろん、昭和のテレビシリーズをオマージュしているが故の無理な展開、例えば神永が自衛隊員に指示せずに自分が子供を助けに行ってしまうことや、なぜか浅見が巨大化してしまうことなどはあるが、それを許容したとしても、やり過ぎ感がある。

 

・終盤でのカタルシスの無さ

 ここが一番の問題。この映画のメインの戦闘は5回。そのうち戦闘のピークが3回目くらいに来てしまう。4回目のメフィラス戦は、最初の格闘戦までは良かったものの、光線対決の後は、メフィラスが引き上げてしまうので中途半端に終わる。また、最後のゼットン戦は、ゼットンウルトラマンの何十倍もあるが超巨大兵器扱いであり、小さく映るウルトラマンがあっけなくやられて終わる。結局ゼットンは人類とウルトラマンの共闘によって除去されるのだが、人類側の攻略法発見にあまり高揚感が無く事務的だし、攻略時の映像も結構地味。で、お決まりのゾーフィとの会話が始まるので、「え?これで終わり」という感覚が強かった。庵野秀明が監督ではないにしろ、庵野作品は(ピークはどこにあるかは別にしろ)比較的カタルシスを感じる演出が多いと思っていたので、ここは非常に残念だった。3回目のピークのザラブ戦ですら、夜間ということもあり、「次はまだまだすごい戦闘があるぞ!」と期待させられたので余計に期待外れだった。

 

・似ている戦闘

 ここも、昭和のオマージュなのかもしれないが、最初2戦は四つ足怪獣との戦い。次の2戦は外星人との戦いと似ている。しかも四つ足系の方は劇中でも「モジュール化されている」等使いまわしであることが言及されている。まだ、ザラブとメフィラスの外星人の下りは、ストーリーが非常に似通っており、「カトクタイとコンタクト」→「日本政府を丸め込む」→「裏で人類に不利なことをする」→「ウルトラマンと交渉決裂して戦闘」となっており、わざわざ短い映画の中で同じような話をしなくても良いのに?と思った。

 

 

総括

 総括すると、昭和ウルトラマンのオマージュをしすぎたせいで、映画作品としての魅力を出すことに失敗した映画なのかなと思った。とにかくオマージュが多すぎて、自分にはとても把握しきれない。解説動画をみて「ヘー」と思うだけだ。動画解説者向けに作ったのかと思うほどだ。相当敷居が高いだろう。