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【ネタバレ有り】映画『魔女がいっぱい』感想

映画『魔女がいっぱい』オフィシャルサイト | 大ヒット上映中! (warnerbros.co.jp)

 魔女がいっぱい

前提

映画館で字幕版を視聴。原作は未読。予告編のみで見たくなったので、特に事前にレビュー等は見ていない。

 

 

 

 

概要

60年代―とある豪華ホテルに現れた、見た目は誰よりおしゃれで上品な美女。しかしその中身は、美しい外見を壮大に裏切る誰より危ない邪悪な大魔女<グランド・ウィッチ>だった! 魔女は実在していて、実は世界中に潜んでいる。彼女たちはいつまでも若く、おしゃれが大好きで、いつも帽子をかぶり長い手袋をしている。 そして人間のふりして普通の暮らしをしながら時々こっそり人間に邪悪な魔法をかけている。 彼女たちの存在に気づいている人間はいない――気づいた人間は動物にしてしまうから。 彼女たちの頂点にいる大魔女が、そんな魔女たちを集めて目論むある【計画】とは―。 ある少年は偶然魔女の集会に紛れその計画を知ってしまうが・・・ ちょっと驚きのラストが“大切なもの”に気づかせてくれる、この冬たった一本の感動ファンタジー

(フィルマークスより)

 

 

感想

良かった点

意外にも舞台はアラバマ

 予告編では、60年代アメリカで、豪華ホテルが舞台と聞いていたので、ニューヨークあたりで、シャネルファッションとか、アールデコが残っていた時代の話を想像していたが、実は南部アラバマで、典型的なファンクな黒人文化の祖母と主人公の少年が中心の話だった。それが悪いわけではなくて、流れるBGMも、”We are family”などの、日本人でもどこかで聞いたことがある陽気な曲で、映画全体を明るくしてくれる(でも、年代が微妙にずれてる気がする)。

 

短めで丁度良い展開

 上映時間は104分。今の映画としては短い部類だろう。個人的には、中だるみもなく、集中力を維持し続けながら見れたので丁度良い時間だった。ただし、よくある映画だと、「最初上手くいって調子に乗ったらボスにコテンパンにやられて、1度危機に陥る」といった中盤の山場のようなものがあるが、今作はあまりそのような中盤のピークは無い。ネズミになってからは、いくつかのミッションはあるものの非常にスムーズに話が進んでいく。そのため、人によっては「え、もう終わり?」といった感覚になるだろう。

 

アン・ハサウェイははまり役

 敵の親玉である大魔女役は予告編の通り非常にはまり役だった。元々口が大きい人なので、口裂け女になっても、原形を留めつつ、恐ろしさも追加されていた。唯一ヨーロッパ訛りが強い英語を話すのが、何の意味があるか分からなかった。

 

子供向けにしては衝撃的な展開

 まず、開始早々主人公は両親を亡くす。かつ、主人公ともう一人の男の子がネズミにされるが、なんと元に戻れずにエンディングとなる。更に、ネズミになったので、人間から変身したので長命になってもせいぜい10年しか生きられず、エンディングは10年経って爺さんネズミになった主人公が魔女を倒せと子供たちに映写教育するオチ。これにはびっくり。お約束を外している。もっとあるは、もう一人の男の子は実親にネズミになったことを認知されずに、主人公の家で住むことになる。親は旅先で息子が行方不明なって発狂ものだろう。しかも、主人公ももう一人も、ちっとも人生を悲観してないのである。非常にポジティブ。ネズミライフ最高だぜーみたいな。この感覚は非常に衝撃的だった。でもこういうのがちょっと面白かったりする。

 

 良くなかった点

意味不明な祖母の咳と、黒人差別描写

 黒人の祖母の家に孫の少年が来て、雑貨店でその少年が魔女に合ってしまう。それで祖母のいとこが料理長をやっていたつてで、アラバマの海岸沿いの豪華ホテルに泊まることになる。で、60年代の豪華ホテルだから、当然、泊まるのは金持ちの白人で、黒人はベルボーイ等の召使い。だから、少年も支配人から差別的な発言を受ける。ところが、この黒人差別というのがいかにも中途半端というか、まずもって泊めてくれたこと、泊めるにしてもグレードの高い部屋を用意してくれたこと、給仕をちゃんとしてくれたこと、等サービスが結構良いのだ。一方で、「黒人だから」的な濡れ衣を着せたがっている展開等、主人公達をどう扱いたいのか良くわからない部分があった。

 もう一つは祖母の咳だ、祖母は民間療法のプロなのだが、冒頭から咳を頻繁にしていて、「この先長くはもたない」ということを暗示させている。ところがこの婆さん最後まで生きてるし、エンディング(舞台から10年後)でも元気な姿が見られる。孫はネズミのまま年老いているのに。「魔女の影響で」とか言っていたが、明らかに孫への言い訳で不治の病を隠しているシーンだった。一体全体何だったのか?

 

アン・ハサウェイ以外の魔女は弱い

 アン・ハサウェイ以外に50人程度の魔女軍団でホテルに来るのだが、まぁ何にも役に立たない。集まって、大魔女を賛美して、最後にスープ飲んでネズミ(かつドブネズミ)になって終わり。もうちょっと、集団による見せ場を見せてほしかった。

 

ネズミ嫌いにはきつい

 上述したが最後は50人の魔女がドブネズミになって大騒ぎになるということで、ネズミ嫌いには厳しい映画だ。主人公達も可愛らしい感じではあるが、ネズミはネズミだ。

 

総評:純粋に子供向けなわけではない。

 個人的には衝撃的な展開含めて面白かった。ただ、典型的なハッピーエンドではないので、お子さんに見せたら素直に喜ばないかもしれない。私はこういう映画を喜ぶ子供は好きだが。