自分が年取ったことに愕然としつつ書いています。毎年ハースストーンは4月に新年度となって、2年前の拡張パックがローテーションによりスタンダード環境で使えなくなります。私は毎拡張でカード採用率について事前評価しています。新年度になると旧環境で使えたデッキがローテーションで成立しなくなるため、新コンセプトのデッキが出やするくなるのですが、今回は、事前評価のさらに前段階として、旧年度(グリフォン年)の主流デッキがどうなるのか予想することで、事前評価の精度を上げてみようという考えです。なお、今年は2年前のフェニックス年のカードが落ちます。
今回はハースリプレイで紹介されているデッキ(ハースストーン メタ - HSReplay.net)のうち、各クラスの上位使用率デッキをピックアップして、それらが新年度でも使用されるのか検証してみたいと思います。
前提として、コアセットの入れ替えが内容が3/21時点では発表されていないため、コアセットに関しては、旧年度のものと仮定しています。
クラス別考察
デーモンハンター
■断末魔 断末魔デーモンハンター - HSReplay.net
■フェル フェルデーモンハンター - HSReplay.net
■クエスト クエストデーモンハンター - HSReplay.net
■ビッグ ビッグデーモンハンター - HSReplay.net
■クエストフェル Quest Fel Demon Hunter - HSReplay.net
■クエスト生命奪取 クエスト生命奪取デーモンハンター - HSReplay.net
まず明らかにクエスト生命奪取は居なくなります。キーパーツの「イルギノス」がスタン落ちするからです。
断末魔は、「有名芸人」と「グルダンの髑髏」がスタン落ちしますが、断末魔は代わりがいますし、ドローカードも代替があります。まずもって「レイザーボア」を始めとした断末魔ギミックは残るので、一見まだまだ使えそうな気がします。ところが、フィニッシュコンボで必要な「フェルファイアの射手」と「下積み芸人」がスタン落ちするので、かなりパワーダウンします。断末魔ギミック自体は序盤~中盤に適しているので、代わりのギミックが欲しいところです。
フェルはグリフォン年の「風集うストームウィンド」で推されたデッキで、キーパーツは殆ど残りますから、存在するデッキでしょう。
ビッグは微妙で、「ピットロード指揮官」や「フェルの召喚師」がいなくなる一方で、「裁きの秘印」は残りますし、ビッグデーモンミニオンはまだまだいる(+新拡張の超大型も候補)ので、4月の拡張ではカードが足りないですが、新年度のどこかで再度推される可能性はあるでしょう。
クエスト系はもちろん新年度も使えます。デモハンのクエストはそれ自体がフィニッシャーになるのではなく、ドローとコスト削減で他のコンセプトを成立しやすくする(生命奪取なりイルギノスなり)効果なので、なんだかんだ使われる可能性はあります。ただし、「滑空」、「2段ジャンプ」+「魂の欠片」が無くなるので、ドローが厳しくなります。今のデモハンはドローカード過多で、クエストでは「グルダンの髑髏」ですら使われていないので、成立しなくなる程ではないでしょうが、ドローカードがあるに越したことはありません。
その他、無くなるギミックとしてはスクロマンスの「魂の欠片デモハン」があります。
デモハンの一番の痛手は現在デモハン採用率トップの「イリダン党の予習」が無くなることです。「異端だけ」という狭いカードプールから必ず右端にカードを生成するので、異端効果が発動しやすく、どんなデッキにも使える超優秀カードでした。上記のいずれのデッキも「イリダン党の予習」の恩恵を大分受けています。これが無い新年度のデモハンはあまり期待できないかもしれません。
ドルイド
■アナコンドラ アナコンドラドルイド - HSReplay.net
大きく分けると、ランプ系とトークン系(獣、挑発)の2つがどちらも主流という、やはりドルイドは何やっても強いになっていると思います。
まずランプ系ですが、なんといっても「電光刹花」、「過剰繁殖」、「日蝕」「月食」、「セナリウスの結界」、「重さ当て」といったキーパーツが軒並スタン落ちするのが痛い。特に「電光刹花」、「過剰繁殖」が無いとランプ系のマナ加速スピードは半減すると言っても良く、「野生のガフ」だけではどうしようも無いと思います。ただ、「コールドトゥース鉱山の確保」と「カザカサン」は残るので、「カザカサンドルイド」は成立するかもしれません。
トークン系は比較的被害は少なく、キーパーツとなる「エルーンの巫女」、「堆肥化」が残るのが大きいです。挑発は「レイザーメインの戦闘衛兵」も残ります。一方で、共通して「草花凶花」が無くなる影響が大きいです。一応全体バフ呪文は「野生の力」。「野生の心」、「群れの怒り」などがあるので、「草花凶花」の穴を埋める可能性があります。
総じてドルイドはランプ系が厳しくなり、トークン系中心となるでしょう。ただしカザカサンは除く。アルタラックやそのミニセットで登場した選択ギミックの強化があれば面白いと思います。
ハンター
■フェイス フェイスハンター - HSReplay.net
■ドレクサー Drek'Thar Hunter - HSReplay.net
グリフォン年が始まる前は、クラシックにあった優秀な3マナ帯のカード(「獣の相棒」や「イーグルホーン・ボウ」)が無くなり、「ハンター大丈夫か」と思ったものでしたが、予想に反して「フェイスハンター」は1年を通じて強さと人気がありました。おそらく中立含めて採用できるカードの柔軟性が高いことが生き残れる要因なのだと思います。今回スタン落ちするキーカードは「カワイイ侵入者」、「ヴォルパーティンガー」、「図太い徒弟」、「悪魔の相棒」、「教団の新入会員」、「踏み潰すサイ」などがあります。「踏み潰すサイ」を除くと1,2マナのカードであり、このマナ帯の充実度がフェイスハンターの強みだったわけです。新拡張は「超大型」というように、比較的大型ミニオン+ナーガ種族の登場で呪文が強そうなので、フェイスハンターには向かい風のような気がします。どちらかというと秘策等の呪文や中型ミニオンも利用したミッドレンジに移行するかもしれません。
クエストは左程致命的な影響は受けていません。ダメージ系の呪文も何かしら出る可能性はあるので、新拡張でも生き残るでしょう。
今の獣ハンターは断末魔系です。「守護獣」や「先生のペット」、「ンゾスの魔石」がなくなりますが、「ペット収集家」、「ペット復活」等もありますし、断末魔獣も何体か残るので、デッキとしては成立するでしょう。強いかどうかは別ですが、結構私も好きで時々使うギミックなので、しぶとく生き残ると思います。
ハンターは低マナ帯を除くと、比較的、フェニックス年のスタン落ちの効果が小さい(グリフォン年のカードに移行できている)と言えるでしょう。
低マナ帯で優秀なカードが出るかどうかがボイントです。
メイジ
■ヒロパ ピンメイジ - HSReplay.net
■ビッグスペル ビッグスペルメイジ - HSReplay.net
■クエスト モザキOTKメイジ - HSReplay.net
■モザキOTK モザキOTKメイジ - HSReplay.net
■ノーミニオン ノーミニオンメイジ - HSReplay.net
メイジはどのデッキもキーパーツが無くなるので、新年度は全く異なるデッキコンセプトを探すことになるでしょう。まず、ビッグスペル系の主要ダメージ元だった「クトゥーンの仮面」がスタン落ちします。今のところこれに匹敵する程のダメージ呪文はありません。せっかくビッグスペルメイジが登場したのに残念です。
また、「モザキOTK」はモザキが無くなることで終了。呪文系メイジは、「一夜漬け」、「詠唱者の循環」、「頭を冷やせ」、「退化の矢」が無くなることで、序盤の除去力がダウンし、1ターンでのカード使用枚数も減り、確実に弱くなります。新拡張が今のところメックメイジとナーガといったミニオン推しで呪文が足りていないのも向かい風です。
ギミックとして、ヒロパメイジのヒロパシナジー、とクエストは残ります。特にヒロパシナジーは「クトゥーンの仮面」に代わる新たなダメージ元を得られれば活躍し続けることは可能と思います。
パラディン
■ クエスト クエストパラディン - HSReplay.net
■ ビッグ ビッグパラディン - HSReplay.net
■ ハンドバフ ハンドバフパラディン - HSReplay.net
パラディンはこの2年ずっと「アダールの手」+「聖典セット」が主流でした。お疲れ様でしたと労いたい一方で、あまり変化が無かったというのも正直な感想です。
バフパラディンは、「権威の祝福」、「アダールの手」が無くなるのが痛いですが、新拡張で発表されたカードで神聖呪文の大型バフ呪文があるようなので、生き残る可能性はあると思います。
クエストパラディンは「初登校の日」が無くなるのと、ドローが弱点になりますが、1マナカードという汎用性の高い条件なので、強さとか人気の点は分かりませんが、ある程度の使用率は残るでしょう。
ビッグもキーカードがスタン落ちしないので、それなり残るでしょうが、「バリケード」や「初登校の日」等の逆に序盤を補うカードが無くなるのをどうするかによると思います。特にカードプールが狭いとそこら辺が補いきれないので、新年度初期は流行らないと思います。
ハンドバフは「アライアンスの旗持ち」や聖なる盾ハンドバフシナジーが残ります。スタン落ちするキーカードも殆どないので、とりあえず、新拡張で使うならこれになるでしょう。
秘策パラディンはグリフォン年初期に流行って、しばらくして廃れましたが、最近呪文+カザカサンで復活したようです。個人的には、カードプールが狭いと呪文中心デッキは組みにくいので、グリフォン年初期のようなデッキになると思いますが、「おおヨグよ!」が無くなる影響がどの程度か?読みづらいです。
とにかく「アダールの手」を失ったパラディンはドロー力が弱くなりますので、発見等を駆使してハンドを切らさずに戦うスタイルになるのだと思います。
プリースト
■コントロール コントロールプリースト - HSReplay.net
■アグロシャドウ アグロシャドウプリースト - HSReplay.net
■クエスト クエストプリースト - HSReplay.net
■ミラクル ミラクルプリースト - HSReplay.net
■イノシシ ボアプリースト - HSReplay.net
■ドラゴン ドラゴンプリースト - HSReplay.net
プリーストは、ナズマニ+セセックコンボが無くなるミラクルは確実に居なくなります。その他、「再起」、「手相占い」、「ヒステリー」、「洞察」、「魂の鏡」「死者蘇生」といった、コントロールやカザカサン系で非常に良く使われるカードもスタン落ちします。そうなると、確実に残りそうなのはシャドプリだけとなります。意外ですね。シャドプリも「死者蘇生」が無くなるのは痛いですが、逆に言えばそれだけなので、中立含めたアグロ系カードや影呪文が増えればそれだけ強くなるという、非常に良い位置にいると思います。とりあえず、新環境はシャドウプリーストですね。
ローグ
ローグは、拡張初期にトップティアデッキが出てきて、ナーフされてを繰り返しているので、上記のものも「昔強かったけどナーフされたよな」というようなデッキばかりで、ある意味羨ましいです。というか優遇されすぎなんですよ。
この中で生き残れるのはクエストだけでしょう。今回ローグはSI:7カード以外はキーパーツが数多くスタン落ちします。「ペテン」、「秘密の通路」、「狐の騙し屋」、「ワンド泥棒」、「景品横取り野郎」などなど。軽いドローとコンボカードが無くなるのがつらいですね。結局新拡張で同じようなカードが補充されて生き残るかもしれませんが。新拡張はそのようなカードが出るかどうかがキモになるでしょう。唯一「隠れ身ローグ」は「スパイミストレス」や「グレイハート族の賢者」がいなくなるのでデッキが成立しなくなるでしょう。
シャーマン
■アグロエレメンタル アグロエレメンタルシャーマン - HSReplay.net
■クエスト クエストシャーマン - HSReplay.net
■凍結エレメンタル 凍結エレメンタルシャーマン - HSReplay.net
■ボルナーOTK ボルナーOTKシャーマン - HSReplay.net
去年の今頃は進化シャーマンが主流だったでしょうか。「ボグスパインナックル」と「転化」が無くなってさすがに終焉でしょう。エレメンタル系は微妙で、グリフォン年の優秀なエレメンタルは残るものの、一方で「金網デスマッチ管理係」、「ガイアワーム」がいなくなるのはつらいですね。4月の拡張では、ナーガ種族が出るせいでエレメンタルの補充は期待できなさそうなので、勢いは衰えるでしょう。ボルナーOTKはヤシャラージュがいなくなるので消滅します。
今のシャーマンって、バーンシャーマンが典型的ですけど、エレメンタル、凍結、武器、呪文、オバロの混成なんですよね。呪文は「蛇寺院のポータル」、「電光刹花」、「ファイアハート先生」がいなくなります。凍結以外がバランスよく居なくなるので、逆に言えば構えが広いというか、新拡張のカードに応じて柔軟にデッキが変化していくのではないでしょうか?
ウォーロック
■クエストハンド クエストハンドウォーロック - HSReplay.net
■コントロール コントロールウォーロック - HSReplay.net
■フクロウOTK フクロウOTKウォーロック - HSReplay.net
今のクエストハンドウォーロックは面白いですね。クエスト最終達成を期待していないですから。
この中で真っ先に居なくなるのはコントロールでしょう。「チケッタス」、「ヒステリー」や魂の欠片系カードが無くなるので、コントロール力が大分弱くなります。
クエストハンドも、ハンドシナジーはあるものの、「肉の巨人」、「死者蘇生」、「バックファイア」といった自傷と、「魂の欠片」といった回復が無くなるので弱体化します。自傷と回復の組み合わせが噛み合う新カードは難しいと思われます。クエスト要素が無くなって完全にハンドデッキになるかもしれません。ズーはいつの時代も形態を変えて存在していましたから、大幅にカードは入れ替わるでしょうが、存在し続けるでしょう。フクロウOTKはキーパーツが残るので存在はできます。一方で前述のようにコントロール力は弱くなるので、いかにそこを補うカードが出るかでしょう。
全体的にコントロール力が不足するので、そこを補うカードが出れば、採用率が高くなるのだと思います。個人的には、「4月拡張時のウォロは弱い」傾向にあると思っていますので、今度もあまり期待はしていません。
ウォリアー
■クエスト クエストウォリアー - HSReplay.net
■コントロール コントロールウォリアー - HSReplay.net
クエストウォリアーは、「剣喰い男」くらいしかスタン落ちしないので、現役バリバリ使われるでしょう。新拡張のモチーフ的に海賊が結構登場しそうなのも追い風ですね。コントロールと突撃は「地雷原」、「アズィノスの防塁」、「魔刃嵐」といった除去が弱くなります。一方で、「砲座に着け!」などのあまり使われていない、or使われなくなった除去呪文もありますので、大幅な弱体化は無いと思われます。ウォリアーは比較的グリフォン年の環境に馴染んでいったので、スムーズに新年度を迎えられると思います。今主流のデッキも種類が少ないですから、新ギミックのデッキも生まれる可能性はあると思います。
番外編 カザカサン
番外編ですが、グリフォン年最後に突如現れ、コントロール系デッキで必須級のカードとなった「カザカサン」ですが、新年度では使われるのでしょうか?まず、個人の感想かもしれませんが、コントロールデッキは比較的カードプールが広い場合に成立しがちと思います。その点、4月の新拡張では組みづらくなることは確実と思います。「カザカサン」の発動条件は「デッキにドラゴン以外のミニオンがいないこと」なので、デッキを呪文とドラゴンカード中心で組むことになります。海が舞台の新拡張でドラゴンが出てくるのか微妙(海竜的なのがドラゴン種族になるかな?)なので、呪文中心になるでしょう。ヒーローによっては厳しいのも出てくるでしょうが、メイジが去年4月の時点でノーミニオンメイジを作れたように、全然可能な範囲だと思いますので、「カザカサン」デッキは新拡張でも生き残って、もしかすると、新拡張の新ギミックを全てぶち壊して「やっぱりカザカサン」となることも否定できないと思います。そうなると、確実にナーフ候補で、効果を「デッキにドラゴンがいないと発動しない」くらいにして欲しいですね。
「確定サーチできるか」が結構ポイントになると思ってまして、そういう意味だと、「ラシオンの角」や「コールドトゥース鉱山の確保」があるプリーストやドルイドはかなり危険な存在になるでしょう。
といった具合で、事前評価は上記の評価を軸にして、予想していきたいと思います。